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清水 雄一郎さん
さいたま市のタクシー会社「日栄交通」の常務取締役、清水雄一郎さん。コロナで売上が急落したタクシー事業を再生させるべく従業員の一言からスタートした新事業「生きくらげ」の生産・販売のため『あの日のはごたえ』というブランドを立ち上げる。自身で試作した生きくらげの美味しさに感動し、ビニールハウスにて本格的に生産を開始。特に国内生産量が少ないきくらげ市場において、全て国産にこだわった生きくらげは、Eコマースだけではなく直接現地に買いに訪れる方もいるほどの大人気。現在、大手スーパーや学校給食でも取り扱われ、その名が広まりつつあります。加えて、きくらげ事業は地域課題でもある空き家問題をきくらげの栽培用コンテナとして活用する「きくらげハウス」とすることで全国に広がる空き家問題の解決を目指しています。
目次
コロナで大打撃!経営危機のタクシー会社を救った、きくらげ事業
空き家を活用したきくらげ生産のツイートがバズっていましたね。最近は、テレビを含めたメディア露出が増えてきている清水さんの現在のお仕事内容について改めて教えてください!
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タクシー会社「日栄交通」の常務として、タクシーの運行管理や経営に携わっています。タクシー会社の傍ら、きくらげ事業としてきくらげの生産、販売を行っています。
きくらげ事業は、まだパートさんに全てをお任せできるまで仕組みが整っていないので、私ともう1名の社員と収穫やパッキング作業を行っています。タクシー業務ときくらげ事業の割合は4:6ぐらいです。
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タクシー会社の駐車場にコンテナを建て、きくらげを生産されているんですね…!きくらげ事業のきっかけは従業員の一言からスタートしたとホームページに記載がありますが、そのエピソードをもう少し深掘りしてお伺いしたいです!
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家族でタクシー会社を経営していますが、コロナ禍は街に人が1人もいない状況で、事業を畳むか否かという決断まで迫られていました。
コロナ禍は、お客さんもおらず時間も余っていたので、よく従業員と新しい事業について議論していました。カブトムシやメダカ育成などいろんな事業案が出てきた中の1つに「きくらげ」がありました。よくわからないが、なんかいいらしいと言われたので半信半疑で調べてみたのがきっかけです。
きくらげの何が良かったのでしょう…?
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日本で食べられているきくらげの97%は中国産(2018年時点)で、国産きくらげの自給率は3%と言われています。つまり、日本でのきくらげの生産はとても少ないんです。
その時は、「売れないから作られていないんだろうな」としか思っていなかったのですが、きくらげの中でも「生きくらげ」という高値で売られているものを知りました。生産方法を調べたら、私でも作れるかもしれないと思い、その場で菌床10個を取り寄せて、使用していないシャワー室で育て始めました。
決断から行動までが早い…!
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背に腹は代えられないですからね…!ですが、試作した生きくらげを食べたら、今まで食べたきくらげとは思えないほど美味しくて、感動しました。
だから、生きくらげであればファンになってくれる人もいるかもしれないと思い、まずは私の友人に配ったんです。そしたら、とても好評だったので、2021年に生産のキャパシティを広げるためビニールハウスを建てて、菌床400個を仕入れ始めました。
10個の菌床から始めたきくらげ生産を一気に400個…!?思い切りがすごいですね…!
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正直なお話、仕入れからつまづいたんですけどね…!今考えると当たり前なのですが、紹介もない農業初心者の私に初対面で400個の菌床を売ってくれるところはないですよね。
だけど、1箇所だけ販売してくれる所を見つけたので、2021年5月から本格的にきくらげ生産を始めました。
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生産したきくらげの販促はどのように行ったのでしょうか…?
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シャワー室で育てた最初のきくらげはメルカリで売ったら、翌日に売れたんです。その後、きくらげの購入者から「次のきくらげの発売はいつですか?」とコメントもいただいた時は、具体的な需要を認識できた瞬間でしたね。
え~~~!?最初のプラットフォームがメルカリというのは面白い…!初期の失敗リスクを少なくできるだけではなく、需要調査もできるのでピッタリですね!!
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その後も、SNSなどで友人に宣伝してもらいながら販売と生産を続けていきました。お客さんからの反響も徐々に大きくなり、作っても作っても売り切れてしまう状況が続きました。そこで、通年生産に挑戦しようと思い立ったんです。
スーパーには通年できくらげが売っているイメージですが、通年生産の食べ物ではないのでしょうか…?
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きくらげに詳しい業界の人は、通年生産はおすすめできないと言いますね。
理由は、暖房光熱費の高騰で、挑戦する方はいても、作り続ける方は少ないんだそうです。だから、多くの農家は夏の期間に生産し、残りを乾燥きくらげにして、1年を通して販売していく方法が主流だそうです。
しかし、私は多くの人に生きくらげを手にとって頂きたいので、2022年5月から自分でプレハブを建て、暖房設備を作り常に生きくらげを販売できる仕組みを作り始めました。
増え続ける競合の中で勝ち続けるには適正価格で継続できる仕組みづくりが大事
継続的な生産体制を構築する上での大きな課題は何ですか?
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初期投資を回収するだけの販路の拡大と利幅の少なさですね。
きくらげは味と香りがなく、歯ごたえを楽しむ食べ物です。最低限の生産規格はありますが、どこで誰が作っても最低限の質を担保できる。だから、構想当初はフランチャイズ化で量産体制を確保しようとしていました。
空き家にきくらげのプラントを初期費用で約400〜500万円で私がコンサルティングをしたとして、生産後の販売販路の開拓まで一気通貫でできる人が少ないんです。
フランチャイズ化の検討初期に業務委託で個人事業の方と試験運用をしたのですが、100円を120円で買い取るきくらげ業界では利幅が少ないこともあり、売上を上げるのが難しかったです。
なるほど…きくらげの販売価格を上げることは難しいのでしょうか。
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個人的な感覚ですが、現状の1kg1,500円と〜2,000円の売値をブランディングして3,000円に出来たとしても、短期的には売れるかもしれない。実際、大手ネットショップでは1kg3,000円の単価で生きくらげが販売されています。
しかし、長く事業を続けていくためには競合が増えた時に、高価なら、高価である理由がないといけない。なぜなら、生産の障壁が低く、誰でも生産出来てしまう再現性の高さを加味すると、長期的視点で適正価格を確立していく必要があると考えています。
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短期的視点と長期的視点でその時の「正解」は変わりますよね…!
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きくらげは寒さに弱く、夏場だけの生産が主流の食べ物です。しかし、私は冬季を含めての通年生産を行っています。通年生産で販売している他社は冬季の暖房コスト分、冬は価格を上げている所もあります。
だからこそ長期的な事業戦略として、通年生産でも常に同じ価格で出荷できる仕組み作りが差別化に繋がると考えています。
今年の冬が勝負の冬ということですね…!通年生産のための暖房器具などの初期設備もかなり大変そうですね…。
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正直な話、投資が潤沢にあるわけではないので、廃油ストーブを使い暖房など、自分で作れる設備は自作しています。
ストーブって自作できてしまうものでしたっけ…!?
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元々、建築関係の仕事に携わっていたこともあり、家の改装やDIYは得意でした。ストーブ1つでも購入すると何十万〜何百万ぐらいかかります。さらに、光熱費や灯油代などのランニングコストを加味するときくらげ生産の採算が合わなくなってしまう。
だから、廃油を利用したり、きくらげ生産で捨ててしまう菌床を乾かして堆肥にしたりしていますが、乾かしてストーブの燃料にするなど、持続可能な生産体制を考えています。
コスト削減への徹底的な努力がすごい…!直近のメディア露出が増えたことで、きくらげ事業への支援者も増えていそうですが、どうでしょうか。
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メディア露出がきっかけというよりは、私自身、地元の友達との持ちつ持たれつで生きているタイプなんです。だから、地元の経営者仲間や色んな業種の友達の繋がりから支援してもらうことが多いです。
きくらげ事業を始める際、周囲はどのような反応でしたか?
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好意的な意見が多かったです。通年生産での暖房問題も、太陽熱をそのまま暖房にできる中国製のエアヒーターを見つけた時、中国にいた友人に相談したら直接メーカーに電話をしてくれて輸入するところまで協力してくれました。
そんな偶然あります…!?(笑)
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人の縁ですね。暖房問題だけではなく、スーパーへの販路拡大や給食で『あの日のはごたえ』を提供しているきっかけも、地元の友人からの紹介です。
きっかけは紹介でも実取引に繋がるのは『あの日のはごたえ』が美味しいというのが大前提にあるからですよね!給食への提供は貴重な機会だったのではないでしょうか。
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毎日出荷するわけでもなければ、1度の出荷量も多くはありません。しかし、ブランディングとしてはとても貴重な機会だったと思います!
初期投資コストをいかに下げることはもちろん、生産後の販路確立など、どの場面においても清水さんだからここまで出来ているのかなという印象を持ちました。事業の再現性についてはどのように考えられていますか?
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ありがたいことにメディアに取り上げて頂く度に、きくらげ栽培について教えてください!という方が何十人と訪れてくれます。私自身も最初は丁寧に教えていたんです。しかしある時、私はたまたま建築やEコマースのノウハウがあり、恵まれた環境にいただけなのではないかと気づいたんです。だから正直な話、人にはお勧めできないです。
例えば、既にEコマースのサイトを持っていたり、広告運用のプロフェッショナルである程度の基盤があればおすすめできます。しかし、スキルも基盤もないところから0から始めるという方は辛いだけだと思う、と正直に伝えています。
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0から立ち上げた清水さんだからこその重みがあるお言葉ですね…!
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きくらげを作るのは簡単なんです。しかし、作るだけじゃ絶対無理です。農業に限らず、売る方が数倍難しいのです。もちろん、ある程度の生産量があれば農協に流通を任せることも方法の1つです。
しかし、既定路線ではない様々な販路の可能性を見つけていかなければいけないと私は考えています。その点、私自身まだ需要を伸ばしきれていないところを課題に感じています。
冒頭のフランチャイズ化の難しさのお話に戻りますが、需要喚起や生産ノウハウを広げるだけでは長期的な事業拡大は難しいということですね。
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きくらげ生産は作り始めたらどんどん採れるので止められないんです。だから、需要と供給のバランスを意識して拡大計画を立てないといけないんです。結局、生産と流通のバランスが取れてないと、生産しても食品ロスはもちろん、作りすぎたので誰か買ってくださいでは、安く買い叩かられてしまいかねない。
だから事業拡大は、欲している人がどこにいるのかを事前によく探すことが大切です。需要が見つかればそのエリアの近くにプラントを作って生産する仕組みづくりが重要と考えています。
利幅が少なく広告で赤字!1次産業から6次産業への突破口とは
きくらげ事業の構想段階で既に、Eコマースへの展開は見据えていたのでしょうか?
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もちろんです。最初のきくらげはメルカリで販売しましたが、ニーズが明確になってからは自社サイトを構えて販売する想定でした。
そのために、運用型広告も試したのですが、販売価格の利率が低く、広告投資の回収が難しいという感想でした。そのため、巷で紹介されている化粧品など原価が低く、広告費を投資できるモデルをそのまま当てはめてはだめですね。
きくらげ事業としては農業ではなく、6次産業化で加工品などの商品を作り、利幅を増やす目処が立ってから改めて広告配信は検討したいですね。
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1次産業から6次産業への流れは最近よく耳にしますね。しかし、清水さんの農業への没頭具合が想像以上だったのですが、なにかきっかけがあったのでしょうか?
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きくらげを広めたいという純粋な興味と、シンプルに農業は大事ですよね。ちょうど今、畑を探していて将来的には正式な農家になりたいと思っています。
6次産業化も作って終わりではなく、作った商品をバズらせるところまでやる必要があると思っています。そして、異業種からの参入した私にしかできないこととして農業をちゃんと儲かるものにしていきたいと思っています。
新しい農業のスタイルですね!Eコマースもそのための手段ということですかね。
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そうですね!全国各地に広げたいというよりは、埼玉の限られた地域で売るよりは欲しい人に届けたほうがいいと思うのでそのための手段ですね。
既に全国にファンがいるのですね…!
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Eコマースからの注文が絶えず入ってくるような状況ではまだないのですが、北海道から沖縄まで全国各地からご注文を頂いています。
しかし、とても心苦しかったのですが現在は北海道と沖縄への発送は送料で赤字になってしまうので取りやめています。
今後も送料高騰の流れは続きそうですよね…!
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物流の2024年問題(※)と言われていますが、来年以降も状況は変わり続けるでしょうね。
しかし、配送地域を制限したのは物流問題というよりは、注文量が特段多い訳では無いので、高い送料をかけてまで今はエリアを広げる必要はないという判断です。
(※)2024年問題とは…働き方改革関連法によって2024年4月1日以降、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることによって発生する問題の総称のこと
都道府県別に注文の偏りはありますか?
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きくらげの出荷量の多い岐阜県、茨城県、四国や九州は注文が少ないですね。
それは、面白い発見ですね!
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注文数に加えて、出荷量が多いエリアへの広告の出稿は、買ってくれる人よりも農業従事者に広告を見られる可能性の方が高いですよね。検索広告のように1クリックあたりで課金されるシステムにおいては、無駄にクリックされると困るので、地域除外の設定をして運用型広告を実施していたりもしました。
検索広告もやられていたのですね!
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試しに過去に実施していていました。今はFacebook 広告で広告配信をしていたりもします。年代別にどのような反応の違いがあるのかを可視化したかっただけなので、ABテストを実施して効果検証まで出来ているわけではないですが。
最近のFacebookやInstagramで見かける広告は動画が多かったので、2ヶ月ほど前からは動画広告も試してみました。
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広告業界の方ような、アンテナの張り方ですね!
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やっぱ売りたいからね!売りたいという気持ちが、勝手にアンテナを張るのだと思います。
地域のお祭りへの出店やマルシェに参加させて頂く機会も増えて、生きくらげの試食をしているのですが、初めて食べるとびっくりされる方が多いんです。
潜在需要として知らないだけで、知ったらハマる人が多いのも事実です。そのため、生きくらげを食べたり、購入できる機会を作ることが課題ですね。
清水さんのマルチスキルには脱帽です…!ホームページもとてもきれいに作られていますがご自身で作られているとか…?
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今のホームページの前身はペライチで自分で作りました。しかし、今のホームページは事業再構築補助金を使って外注しています。
ご自身で制作されたホームページを刷新されたとのことですが、どのあたりに課題感を持たれていたのでしょうか。
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『あの日のはごたえ』の開発秘話やブランドストーリーを伝える場所や表現方法にやりようがあると思ったので刷新しました。
以前のホームページでも商品を買える機能はありました。しかし、ホームページはただ物が買える機能だけではないと思います。空き家問題などの社会問題やメディア関連で取り上げて頂く際に『あの日のはごたえ』のことを知ってもらい、見てもらえる場所にしたかったので、リソースも時間もかけてこだわった部分です。
ストーリーを伝えることと同じくらい、Eコマースでは決算手段も大事な要素ですよね。
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そうですね。うちではWooCommerceのワードプレスのプラグインを使用しています。Eコマースを始めた当初は、クレジットカードやコンビニ払いなど多くの決済手段を揃えることが良いと思っていました。
しかし、実際にやってみるとコンビニ払いの注文は、入金を忘れてキャンセルになることが多かったので、今ではクレジットカード決済のみにしています。将来的にはAmazon Payの導入も検討していきたいですね。
清水さんご自身で販路の開拓、プレハブの建設からオンラインの整備までされていますよね。タクシー会社を経営する傍ら、Eコマースの立ち上げはかなりの作業量ですよね…!
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Eコマースの知識があると言っても、ペライチやBASEに触れるくらいです。つまり、SEO対策をする場合などもインターネット用語や計測のパラメーターなどの専門知識があるわけではないんです。
だから、Eコマースを立ち上げる際もわからない用語は1つ1つ調べて理解しながら、制作会社やシステム会社など複数社とのやり取りは、想像以上に大変でしたね(笑)
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空き家問題に対する課題意識は、戦略ではなく、思想から
きくらげ事業とは別に空き家活用などの社会問題に対する課題意識は最初から持たれていたのでしょうか。
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きくらげ事業のスタート時はまったく考えなかったです。しかし、個人的にビジネスを始める上では大義が大事だと思っているんです。
大義ですか…!清水さんの思想の根幹にある原体験は何なのでしょう。
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20歳の時に2年間47都道府県を家なしでヒッチハイクしながら日本一周をしたんですよ。その時に、三島由紀夫という存在にふれる時期が長く、多くの影響を受けていると感じます。三島由紀夫だけではなく吉田松陰の松下村塾など、偉人たち命がけで世の中を変えようと時代を超えて受け継がれていく思想に感銘を受けた記憶があります。
だからこそ、私が経営者として世の中にできることを考えた時に、100年後に残るものを作りたいという夢があります。そのために大義はとても大事で、社会の課題解決も社会を先に進めるものであれば儲からなくてもいいからやりたい気持ちが性格的には強いですね。
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清水さんの中できくらげ事業や空き家活用の大義はなんですか?
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効率を求めるなら、農地を買って大きいハウスで大量生産する方が儲かると思います。輸送ルートも全てオートメーション化して最初に仕組みをつくればあえて、空き家を活用して生産しなくてもいいんです。だけど、私はあえてこっちを選んでやりたいんですよ。
少しずつ、空き家活用ときくらげ事業が繋がってきた気がします!
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きくらげ事業の初期に通年生産に適した設備を考えると、断熱効果のあるビニールハウスではコストが高すぎて現実的ではなかった。だから、自分で断熱材を使って防水工事をすればいいと思い、プレハブを建てました。
可能であれば、空き団地や鬼怒川にある廃ホテルなど断熱効果のある建物できくらげ生産もやりったかったのですが、いきなりは難しかったので空き家を探し始めたんです。そしたら、たまたま居酒屋で知り合った不動産屋の社長さんがちょうど空き家を買ったと話していたので、私に売って欲しいと2時間ぐらい口説いたんですよね。
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飲みの場の席で、空き家買ったんですか…!?破天荒すぎる……!
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「桶川で70万で買った空き家をリノベーションして500万くらいで売ろうかと思っている」と社長さんが話していたので「私が明日買うから、ちょっと待ってください」と80万で売ってくれないかと交渉しました。
その結果、縁あって売ってくれることになり現地に見に行ったんです。そしたら、工事すれば活用できそうだったので、建築業界で職人として勤めていた時の経験を基に、解体から防水工事まで自分で行いました。
清水さんのようなスキルや出会いは、なかなか皆ができることではないですね。
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半年ほど経ちますが、工事はまだ終わっておらず、今も休みの日を使って工事しています。他の人が1から道具を揃えようとすると大変ですが、私はたまたま専門道具も持っていたので実行に移すことが出来たのだと思います。
最後に今後の展望についてお伺いしたいです!
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きくらげ事業は、空き家活用の先に地方の過疎化した温泉地の廃ビルの地熱を利用した生産施設の建設も視野に入れています。将来的にはきくらげに限らず、きのこ類であれば横展開できるので生産できる品種を増やしていきたいですね。また、6次産業化も効率化していき多くの人に届ける仕組み作りをすすめていきます!
何度も言っていますが、人生において事業と思想を後世に残すことが夢です。事業を残し、人を残すことで、人の中にある思想まで残せたら素晴らしいなと思っています。
清水さんのお人柄が伝わる、素敵なインタビューをありがとうございました!!!
編集後記
生きくらげとの出会いをきっかけに、人生をかけてやりたいことに没頭する清水さんは常にやりたいことに溢れていると語る。「人生のターニングポイントは、全て人との巡り合わせが今のビジネスに繋がっている」と振り返っていたのが印象的でした。
「やりたいことがない」と悩む人も多い現代において、やりたいことを探すことも大事ですが、清水さんのお話を伺っていると「気づいたらそこにあるもの」なのではないかと思わざるを得ない。しかし、それは決して偶然の産物ではなく、日々のアンテナの張り方、人との出会いの場やつながりを大事にする、偶然ではなく必然となる清水さんの思想の強さを感じるインタビューでした。
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文:杉山 美和
写真:杉山 美和/齋藤 彩可