【Why!?Direct.2024イベントレポート】DAY1 公式セッション編

日本のD2C、ダイレクトビジネスに関わる方々が日本全国から集結する日本最大級のD2Cに特化した対面型リアルイベント「Why!?Direct. 2024」が、2024年2月15日(木)・16日(金)・17日(土)の3日間にわたり福岡県の福岡アイランドシティフォーラムで開催されました。

今回は「Why!?Direct. 2024」の公式セッションのイベントレポートをお届けします。本記事は、2024年2月15日(木)に開催されたオープニングキーノートを除く、DAY1の公式セッションをまとめたイベントレポートです。

産学連携で地方から世界へ販路を!人口減少時代を生き抜く為のグローカル活動

このセッションでは、グルーヴノーツ 取締役会長の佐々木 久美子氏をモデレーターとし、花王株式会社を退社後、茨城県の中高一貫校の校長に就任した生井 秀一氏、楽天グループ株式会社で地域創生事業を担当する立場 定氏そして、福岡大学商学部教授の太宰 潮氏が登壇されました。一見すると、共通点のない多種多様の職種に思える3名ですが、産官学連携で人材育成を行うという共通点がありました。それぞれの立場で活動する人材育成の実例を基に「今後のマーケターの育て方」をテーマにセッションが行われました。

最初に印象的だったのが、生井氏のエピソードです。なぜ、花王を退職し茨城県の中高一貫校の学校長の公募に応募したのか。それは、花王時代に直面していた課題の1つ「Eコマースの人材の採用の難しさ」にあったという。賃金高騰や、Eコマース市場の拡大に伴うデジタル人材不足の問題の深刻さを、自ら教育の現場に飛び込むことで解決したい想いが公募のきっかけだったと語る生井氏。その後、学校と企業の連携強化を行い、民間企業の考えを学校教育に組み込む活動を行っているが、現実は理想のように甘くなかったと言います。

約1,600人の応募者の中から選ばれた教員免許もない私が、学校経営において何ができるかを毎日考えていました。すでに出来上がっている学校組織に、どのような形で入るのがいいのか毎日悩んでいたからです。

ある日、マーケティングを教えてほしいと、行動経済学の本をもって1人の生徒が私の元に訪ねてきました。自分で興味を持った分野へ、なんとか私なりに協力をしたいと思いましたが、受験勉強が優先な事も忘れてはなりません。

そのため、昼休みの時間を利用した受験の小論文対策を兼ね、マーケティングフレームワークを利用して日経新聞をわかりやすく解説するマーケティング授業を始めました。お陰様で授業は生徒に好評で、学年内への口コミで参加者も増えています。

マーケティング授業の一例として、生徒に多様性を感じてもらうために、楽天本社に生徒を引率しました。そこで、「なぜ、英語を学ぶのか」というテーマの基、生徒に肌で多様性を感じてもらう機会の創出に繋がりました。

「人を育てる」ことは学校も企業も同じです。そのため、教育の必要性を感じている参加者も多かったのではないでしょうか。今回のセッションに共通しているのが「機会の創出」です学校教育に携わる2名からは以下のようなエピソードが語られました。

生徒の進路選択の情報源は、両親または先生からの意見が大半を占めます。つまり、周囲の大人の歩んできた未来しか選択肢として提示できない機会損失を感じていました。そのため、幅広い選択肢を与えるための機会の創出が重要と考えています。

そのために、学校成績の中央値で平均を揃えるのではなく、外れ値として飛び抜けた生徒にこそ企業の環境や雰囲気の1つ1つが新鮮な経験として残っていると実際の取り組みを通じて感じます。

社会に出ることに嫌悪感を抱く学生もいます。しかし、そういう学生こそ実際に社会に出て楽しそうに働いている皆さんを見て、嫌悪感が期待に変わることが多いのも事実なんです。

この差は、社会と触れ合う環境の数の違いだけなんです。だから、インターンシップを始め産学連携で社会と触れる機会を与えることが大事だと考えています。

会場設営などは福岡大学の学生さんにもサポート頂いていました

人口減少による働き手の減少で今後、様々な企業で課題になる人材採用。これから社会に出る学生に選んでもらう企業や職業になるためには、学生が憧れる姿を私たちが見せていかなければいけないという。

自分自身を含め、仲間や部下がやりたいことに蓋をするのではなく見守る姿勢を意識したいと思います。そうすることで、様々な新たな刺激が生まれ企業に新しい何かを生み出すきっかけになるのではないでしょうか。

ダイレクトビジネスのこれからを見据えると切っては切り離せない「人」。壇上で語られる絵空事ではなく、実際に学生と社会人との交流の場を創出している「Why!?Direct.」に思わず、なるほどと感心するばかりです。イベント会場後方では福岡大学学生によるイベント参加者へのポスターセッションも大反響の様子でした。

食体験は、おいしい+α に進化している?!これからの体験進化と未来展望

このセッションでは、株式会社ペンシル代表取締役社長CEOの倉橋 美佳氏をモデレーターとし、カゴメ株式会社の西崎 達人氏、株式会社Greenspoon 代表取締役 田邊 友則氏そして、株式会社 ZENB JAPAN 執行役員 高橋 宏祐氏が登壇されました。

食に関する単語は日本語で450種類以上あるのをご存知でしょうか。他言語では100種類程しかないと言われており、日本語の種類の多さだけではなく、豊かで情緒的な表現の幅の広さが日本文化に「食」が大きく影響していることを伺い知ることができます。

今回は、生きていくうえでも欠かせない「食」を体験を通じて、「Why!?Direct. 2024」のキーワードでもある「推し」「ファン」とのかかわり方について、登壇企業ごとの取り組み内容をお話し頂きました。

カゴメでは商品を販売して終わりではなく、原料に触れる体験や農業を起点としたストーリー伝達に注力しています。体験を通じて商品を手に取った際の特別感や、より商品を好きになってもらうことで価値の再認識に繋がるのです。

そうすることで、商品の継続だけではなく、ブランドに対する信頼や安心の創出に繋がり、結果として新規顧客の獲得単価の改善や継続率の向上ができていると考えています。

お客さまとの接点である販売チャネルの拡充を進めています。当初は自社Eコマースのみの販売でしたが、現在はAmazonや楽天へのモール出店を皮切りにさらなるお客さまとの接点を持つためにコンビニやスーパーマーケットにも卸し始めています。

特に、テレビ放映の前後では急激な来訪により1時間あたりAmazonの売上が10倍以上になることもあります。そのため、Amazonでは商品が欠品していることはお客さまの期待を裏切ることにも繋がるため、各チャネルを戦略的に組み合わせて販売を行っています。

上記のように語るZEMB高橋さん。2019年3月に発売開始したZENBの現在までの5年の軌跡は順風満帆とは言えなかったという。販売当初は企業の理念や想いで販売していたが思うように売上は伸びずに苦しい時期が続いたとのこと。しかし社内説得を経て、Amazonなどのモール出店を行った途端に販売数は急激に伸び、Amazonの瞬発力の高さと同時にチャネルフィットの重要性をお話されていました。

ファンやブランドは「作る」ものではなく「結果」

2020年に販売されたGreenspoonは、物が売れるのは想いやビジョンではなく、価値と価格のバランスが適正であるかどうかのシンプルな話だと語る田邊氏。独自価値や存在理由を価値として感じてもらわないと生き残れない現代においてGreenspoonはどのようなファン形成を行っているのでしょうか。

Greenspoonのサービスはサブスクリプションが95%を占め、約13万人の累計会員さまに購入して頂いています。13万人というのは、東京ドームを埋められる規模感なんですよね。

つまり「私たちの商品を買ってください」と伝えることもできますが、私たちはステージに立つアイドルと同様に、推されるブランドとして感情的に好きになってもらう必要があると考えており、それを私たちは商品のアイドル化と呼んでいます。

さらに「コミュニケーションが複雑化する上で、チャネル戦略の捉え方とは?」というセッションにおいて、Greenspoonさんのメディア拡充の考え方について以下のように語っていました。

チャネルはメディアであり、テレビ、新聞、コンビニなど人が集まる場所は等しくメディアです。人が集まる場所は、集まっている人の悩みを解決できるのであれば展開するし、出来なければ展開しません。それが、お客さまとより深く繋がることと同義と考えており、販売チャネルの拡充の判断の基盤になっています。

商品のアイドル化やメディア拡充におけるユーザーとのかかわり方のセッション最後には、「ブランドにとって、ファンはどのような存在か?」という問いが投げかけられました。この問いには正解、不正解はない中でファンもブランドも結果でしかない、という前提の基、三社三様の捉え方を垣間見ることができました。

弊社では一般流通商品と通販商品とで異なるブランドを展開しています。カゴメのファンは、商品の裏側のストーリーまで知ってくれている方が多く、熱狂的に発信をされるよりは様々な意見をいただけるお客さまです。そのため、ファン1人ひとりの意見を聞くことを大事にしています。

また、一般流通商品は接点となる商品のファンが多い一方、通販商品はいきなり商品を買ってくれるため商品のファンよりはカゴメのファンになってくれるコアなファンが多い印象です。

「自分を好きでいつづけられる人生を。」というビジョンの基に作った、ブランドコンセプトと一緒に歩んでくれるユーザーがファンと考えています。

私にとって社員も会社のファンです。だから私にとってお客さまは社員のように毎月1on1で面談したり一緒に人生を歩むことはできない点を考慮すると、遠い存在であるかも知れません。しかし、組織やサービスにエッセンスを落とし込む事が間接的にお客さまと共に歩むことだと思っています。

しかし、「ファンを作りたい」や「ブランドを創造したい」という事業者目線の議論は少し懐疑的な印象を受けます。なぜなら、ファンやブランドは「作る」のではなく「結果」でしかないからです。Greenspoonとして何を与えることができるかを考え、実行し続けた先に結果としてブランドができあがり、ファンになってくれる人がいるだけと考えています。だから、「私たちが貢献できること」や「できることを探そう」という視点でGreenspoonでは議論をしています。

D2Cではお客さまから直接、意見を聞く機会を創れるメリットがある一方で、お客さまに意見を聞きすぎてはいけないと語る田邊氏。その心は、すべてを聞いても叶えられることの方が少ないという前提で、半分は聞いて真摯に対応するが、もう半分はお客さまへの新しい発見を「想像」して「創造」するバランス感が大切だと観点は会場でもメモをされている方が多い印象でした。

将来の「食」D2Cへの挑戦者に告ぐ先人の知恵とは

「食のD2Cは今後どのように進化する?」というセッション最後の問いに「食」のD2Cが増えてほしいと語る高橋氏。一方で、D2Cは届ける方法の1つでしかないので手段に固執する必要はないと語る田邊氏は以下のように続けます。

「食」のD2Cに挑戦する人は増えてほしいし、増えると思います。

0から事業を立ち上げた私の立場から言えることは、流通販路や「食」の開拓の大変さに出鼻くじかれることもあるということ。コンビニの棚に陳列してもらうようにするのも一苦労です。だからこそ、先人となる食品メーカーの方々に尊敬の念を抱くと同時に、スタートアップがやる際には規模感やスケールをセットに考えたほうがいいと思います。

サイバーエージェントを卒業し、0から食ブランドGreenspoonを立ち上げた田邊氏だからこそ語れる、調達から工場開拓など「食」を開拓する大変さは、他の食のD2C事業者の方も同様のことを仰っていたなと思いを馳せながら公聴していました。普段は垣間見ることの出来ない他業種のダイレクトビジネスの貴重な裏話を聞くことが出来ました。

顧客接点の革新: 多様なチャネルを統合する効果的戦略

このセッションでは、株式会社インサイトホールディングス 代表取締役社長 紺野 俊介氏をモデレーターとし、株式会社I-ne 執行役員 伊藤 翔哉氏、日本ロレアル株式会社 タカミ事業部 佐藤 秀和氏が登壇されました。

ブランドが顧客の自由な選択を尊重しつつ、自社Eコマースなど特定のチャネルに誘導するのか。また、顧客が情報を収集し、検討し、購入する際に跨る複雑なチャネルをどのように戦略的かつ、継続的に実現していくのかをこれまで成長と成功をしてきた形態の異なる2社を招いてセッションを行いました。

失敗の確率を下げ、成功の確率を上げる

セッション冒頭、体系立った理論に基づきチャネルごとのキャッシュポイントやブランドごとの勝ち筋の認識を事業責任者単位で統一しているというI-ne社のフレームワークに聴衆の関心は寄せられた。

I-neではモールなどのオンラインで新規顧客さまにトライアルをしていただき、ドラックストアなどのオフラインでリピートしてもらう相互送客で運営を行っています。

たとえば、1,400円のシャンプーをCPAを合わせながらオンラインのみで拡販を行うことが難しいのはこの会場に来ている方であればわかっていただけると思います。しかし、オンライン単体で効率を合わせられなくとも、オフラインを含むすべてのチャネルでLTVを算出することで1,400円のシャンプーにオンラインで投資することもできるという1つの事例です。

さらに商品開発を開発部署が専属で行うのではなく、アルバイトを含めた全社員で行っているI-ne社では、アイディアを最終的にスケールするまでのテストマーケティングを行うフレームワーク「IPTOS」を活用し独自のKPIを設計を行っているという。

これらの体系立てた理論は「BOTANIST」のヒット後、立て続けに商品開発を行った結果、大量に残った在庫とプレスリリースをうつ間もなく消えていった新商品の上に成り立っているそう。セッションで全ての工程を詳細に説明することは出来なかったが、フレームワークの体系化によりヒット商品の再現率の向上には繋がっているとのこと。

また、自分の大事な人に「その価格で、その商品を押し売りできますか?」という問いに答えられるかどうかが、商品の強さに繋がるという視点は、自社商品を見直すきっかけになった参加者も多かったのではないでしょうか。

チャネル横断でLTVを測ることは、投資効率の向上にもつながる

タカミは化粧品ブランドではなくスキンケアブランドとして「正しいスキンケアの習慣化」というブランドのミッションの基、「習慣化」の代替指標としてLTVで計測しています。

そのためのチャネル設計として、お客さまの気持ちや行動に応じて認知から習慣化までのチャネル設計において、数値化できるところは数値化を行い、チャネルを横断したLTV計測を行っています。

また、直近自社Eコマースでの定期購入だけではなく、モールへの接点も強化していると語るタカミ。その背景やモール活用による副産物について佐藤氏は以下のように語る。

指名キーワードを検索した際の検索結果面の占有率を増やす目的で楽天などのモールを活用している事業者さんは多くいらっしゃると思います。

モール活用による副産物は、「美容液」や「美容液 ランキング」などの一般キーワードとの親和性にあると考えています。ECモールをしっかりと取り組むことによる一般キーワードの検索面への波及効果も感じています。

チャネル統合は横断したチームの連携から

多様なチャネルを統合する効果的戦略を語る上で欠かせないのが、分業する社内組織における意思統一について。チームを横断し連携を生むには共通目標を持つことだと語る佐藤氏。タカミ事業部ではチャネルごとに分かれているチームを顧客体験(CX)の名のもと横断したチームの連携を図っているという。

また、共通の目標やチームを横断した連携が取れている組織形成の難しさを前置きしつつも、最適化の名の基に短期・個別視点での議論に陥らないように気をつけていると、かなりリアルな実情を語っていたのも印象的でした。

ものづくり→直販→「?」 メーカーが次に実現するのは何か?

このセッションでは、花王株式会社を退社後、現在は茨城県内の中高一貫校の校長に就任した生井 秀一氏をモデレーターとし、サントリーウエルネス株式会社  藤澤 周平氏、株式会社ファンケル 長谷川 敬晃氏、花王株式会社 北 真実氏が登壇されました。

メーカーが製品を作るだけでなく顧客へ直接販売に取り組むようになって10年以上が経過しました。登壇ブランドのこれまでの変遷と直近のチャレンジングな取り組み事例から、ダイレクトレスポンスを極めた先に何があるのか、そしてこれから何を目指していくのかをテーマにセッションを行っていきます。

商品検索充足から感動体験へサービスレベルを引き上げる施策

セッションを通じて、お客さまとのかかわり方において商品検索体験から体験感動レベルを引き上げることで、お客さまへの体験価値が向上したファンケル社の取り組みについて、会場では投影スライドを撮影する方が多かったです。

3PL(サードパーティー・ロジスティクス)やOEM(Original Equipment Manufacturing)の発達で通販競合の増加と同時に、機能差異もなくなり大企業とスタートアップ企業との差が埋まり大きく市場は変化しました。コロナ禍でこの変化は加速し、大企業は超特急でデジタルの対応を始めたことも記憶に新しいと思います。

弊社もオウンドメディアを立ち上げてコンテンツの量産を進めました。当たり前ですが、コンテンツを作っただけではお客さまは見てくれないです。そのため、検索エンジンの立ち位置を変え、サイトの中でお客さまに最も価値のあるコンテンツを提供するためのツール、そんな検索エンジンに切替えようと思いました。

現在入れているツールでは、サイトの価値をキーワードから換算してコンテンツを表示しています。商品を探すという機能軸だけでなく、検索シーンやユーザーニーズに合わせてコンテンツを表示させることで、お客さまのインサイトに沿った価値を伝えるコンテンツ体験を提供しています。

またツール導入の際、スムーズに社内の承認を得るための長谷川氏の工夫が見られました。

社内にツールの導入を進めるにあたって、機能だけで説得しようとすると他ツールとの違いや価格の比較で議論が終わってしまうと思いました。そのため、ツールを導入することで長期的に生まれる会社やブランドとしての価値を提示することで説得もしやすくなるのではないでしょうか。

成功事例のセミナーなどでは、ツールの活用で「どのような成果につながったのか」という数値に焦点を当てるセッションは多いです。しかし、どのように自社でツール導入を行い、活用をするか、また導入における障壁をどのように乗り越えたかまでの話を語る機会はあまり多くはない印象です。セッションの時間の関係もあり、詳細な内容まで語る時間がないのが惜しく感じました。

今後、メーカーが直販を行う意義と目指す未来とは

セッションの最後では、顧客と繋がる手段の1つであるEコマースにおいて、物を売る「次」にメーカーは何を目指すのかという問いについてセッションが行われました。

弊社も同様に商品を売るだけではなく、1年間通じて食事や運動のサポートを行うために年間費33万円の超美容好感度向けの会員制のビューティープログラムを立ち上げました。「モノ」ではなく「体験」という新しい価値を通じて、お客さまとブランドとの繋がりを作っています。

Eコマースは単純に商品売るためだけの場所ではなく、お客さまとつながるために何ができるのかを考える必要があるという点は、3社の共通の見解だったように思います。

中でも、お客さまと直接つながることができる場としてはもちろん、伴走者として最適な提案をするためにこれからも直販Eコマースを続けていくと語るサントリーウェルネス藤澤氏は実際の取り組み内容を紹介しつつ以下のように語る。

弊社では、従来の顧客獲得ドリブンモデルからの脱却を図るため、商品を売るだけではなく、顧客との繋がりを変えていこうとしているところです。2022年10月にComado(コマド)というプラットフォームをリリースしたのもその1つです。

「Comado」がリリースされた時、競合ですが「これは、すごい」と素直に感動しました。どうしても、強烈に繋がるとファンはすぐに離れてしまう瞬間があるので、ゆるく長期的に繋がることのできる点が「Comado」の最強の強みなのではないでしょうか。

伴走の仕方は「絆」のようなイメージではなく「ゆるくつながる」価値提供が求められているのではないかという価値提案が1つ新たな視点として提示されていた印象でした。各セッションを通じて語られる「ファン」について、結果としてファンになってもらう過程で伴走者として繋がりを持ち続けていく必要性が語られました。

単なる商品を売るだけではなく、お客さまが商品を手にして以降も含めての過程にブランドとの繋がりを生むきっかけがあるのではないでしょうか。

編集後記

D2Cセミナーと聞くと、新規顧客獲得のいろはやCPAが改善した事例やツールの説明を公聴するイメージを持つ人が多いかも知れない。かくいう私もそうでした。

しかし「Why!?Direct.」の名の通り、ダイレクトビジネスにこれから関わるであろう未来の仲間の育成や、広義での「D2Cとは?」というダイレクトビジネスの意義を見つめ直すきっかけに触れることができ、新たな視点を得た参加者も多いのではないでしょうか。

職業や分野は違えど、これからのダイレクトビジネスを真剣に考える1つの方向性を示したDAY1のセッションでした。

「Why!?Direct.2024」DAY1のオープニングキーノートの記事はこちら🔽

文 :杉山 美和
写真:杉山 美和、Why!?Direct.様提供

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